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買取保証は本当に安心なのか― 買い替えで「売却期限」を作る怖さ

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買取保証は本当に安心なのか― 買い替えで「売却期限」を作る怖さ

買取保証は本当に安心なのか― 買い替えで「売却期限」を作る怖さ

2026/09/11

買取保証は本当に安心なのか――買い替えで「売却期限」を作る怖さ

以前、大田区にあるマンションの売却をお手伝いしたことがあります。

売主様のご希望は、「時間がかかってもいいので、できるだけ高く売ってほしい」というものでした。そこで、半年から9か月ほどかかる可能性もある、相場より少し高めの価格から販売を始めました。

すると販売中に、同じフロアの別の住戸も、同じくらいの価格で売りに出されました。おそらく、私たちが販売している価格を見て、「自分の部屋もこのくらいで売れるのではないか」と考えたのだと思います。

ところが、その住戸は3か月ほどすると販売を終了し、それまで売却を担当していた大手不動産会社が買い取り、今度はその会社が売主となって再販売を始めました。

詳しい事情は分かりませんが、おそらく買い替えで新居を先に購入し、一定期間内に現在の自宅が売れなければ、不動産会社が決められた価格で買い取る「買取保証」を利用していたのではないかと思います。

その後、その住戸はリフォームされ、私が販売していた部屋と同じくらいか、リフォームした分だけ少し高い価格で再販売されていました。

さらに、同じフロアでもう一つ売りに出た住戸でも、似たようなことが起こりました。新居を先に購入して空室にしたものの、思うように売れず、最終的には買取保証を利用したのか、別の買取業者へ売却したのか、かなり低い価格で手放したようでした。

売却の背水の陣を敷いたものの、結局その期限に追い込まれてしまったように、私には見えました。

 

 

9か月かけて、約500万円高く売却

一方、私が担当していた売主様には、売却期限がありませんでした。そのため、反響を見ながら少しずつ価格を調整し、9か月目に無事成約することができました。

「9か月もかかった」と考えることもできます。

しかし、重要なのは、長く販売することで毎月いくらの費用が流れていくのかということです。

この物件の場合は、おおむね次のとおりでした。

管理費・修繕積立金:約3万円
住宅ローンの金利負担:約1万円
固定資産税の月割額:約1万円

合計すると、月約5万円です。

仮に通常なら3か月で売却できたところを、9か月かけて販売したとすれば、余分にかかった期間は6か月です。

月5万円×6か月ですから、追加負担は約30万円です。

今回は、その30万円を負担して販売を続けた結果、早期に相場で売る場合と比べて、おおむね500万円ほど高く売却できました。単純計算では、30万円の経費を追加で負担して、約500万円高く売れたことになります。

もちろん、長く待てば必ず高く売れるわけではありません。相場が下落することもありますし、競合物件が増えることもあります。反響がなければ、徐々に価格を下げていく必要もあります。

それでも、毎月かかる維持費と値下げ額を比較しながら、「あと何か月なら販売を続けられるか」を考えることは、売却戦略の一つです。

月5万円を節約するために、数百万円値下げする必要が本当にあるのか。この二つは分けて考えなければなりません。

 

 

買取保証が生む「期限」

買い替えでは、新しい家を先に購入する「買い先行」を選びたくなることがあります。

先に新居を決めてから現在の自宅を売ることができれば、住み替え先が決まらない不安はなくなります。仮住まいも不要で、引っ越しも一度で済みます。

一見すると、とても安心できる方法です。

しかし、新居の購入資金を不動産会社の紹介する金融機関から借りる場合、現在の自宅に買取保証を付けることが融資条件になることがあります。

そうなると、「いつまでに売る」という期限と、「売れなければこの価格で買い取る」という金額が設定されます。

期限内に売れれば問題ありません。しかし、最初の売出価格が高すぎたり、適切な時期に価格を見直さなかったりすると、売れないまま期限が近づきます。

本来6,000万円前後で売れる可能性のある物件でも、最後は相場の7〜8割程度の買取価格を受け入れざるを得ないことがあります。

売主様には「万一売れなくても買い取ってもらえる」という安心感があります。しかし、その安心に数百万円、場合によっては1,000万円を超える負担が隠れている可能性があります。

仲介と買取では、不動産会社の利益が違う

仮に6,000万円で一般のお客様に仲介で売却した場合、不動産会社が売主様から受け取る仲介手数料は、税込で約200万円です。

一方、その物件を4,800万円で買い取り、リフォームして6,000万円以上で再販売できれば、不動産会社には売却益が生まれます。もちろん、リフォーム費用、税金、登記費用、販売経費、在庫を抱えるリスクなどがありますから、差額がそのまま利益になるわけではありません。

それでも、仲介手数料だけを受け取る場合より、買取再販の方が大きな利益になる可能性があります。

だからこそ、売主様は「買取保証があるから安心」と考えるだけではなく、次の点を確認する必要があります。

 

 

保証される買取価格はいくらか
通常の査定価格と何%違うのか
期限までに、どのような価格変更を行うのか
買取価格に近づく前に、一般のお客様へ売り切る計画があるか
買取保証を付ける会社と、売却を担当する会社が同じか
他社からの購入希望者も公平に紹介される仕組みになっているか

専任媒介で一社に任せきりになると、販売活動の実態は売主様から見えにくくなります。買取保証を利用するなら、保証額だけでなく、そこへ至るまでの販売計画を契約前に確認することが大切です。

高く売りたいなら「売り先行」も検討する

最近、私のお客様が高額なマンションの買い替えを検討されており、この大田区の事例を思い出しました。

物件価格が高いため、不動産担保ローンを利用すると金利や手数料の負担が大きくなります。現在お仕事をされていないこともあり、一般的な銀行のつなぎ融資も簡単ではありません。

その結果、不動産会社が紹介する融資を利用し、買取保証を付けて買い先行で進める方法が候補になる可能性があります。

しかし、融資費用や買取価格の下落幅まで考えると、先に現在の自宅を時間をかけて売却する「売り先行」の方が、結果的に得になることがあります。

売り先行なら、いったん賃貸住宅へ移るため、引っ越しは二度になります。家賃、礼金、仲介手数料、引っ越し費用などもかかります。

それでも、買取保証によって売却価格が数千万円下がる可能性があるなら、仮住まいにかかる費用の方がはるかに小さいことがあります。

仮住まい中は、すべての荷物を開ける必要はありません。引っ越し会社の荷造り・荷解きサービスを利用したり、必要な物だけ取り出せるように段ボールを分けたりすれば、負担を減らすこともできます。

引っ越しが一度で済む便利さと、数百万円、数千万円という売却価格の差。比較すべきなのは、そこです。

 

 

「確実に売れる価格」へ向かう計画を立てる

私は、買取保証という仕組みをすべて否定するつもりはありません。

売却価格よりも、決められた期日までに確実に住み替えを完了させることを優先する方には、意味のある仕組みです。あらかじめ買取価格を理解し、その価格でも資金計画に問題がないのであれば、一つの選択肢になります。

ただし、高く売ることを重視するのであれば、最初から大幅に安い買取価格を受け入れる必要はありません。

たとえば査定価格より500万円高く売り出すのであれば、期限に合わせて200万円ずつ調整し、最後は査定価格か、それより少し低い金額で一般のお客様への成約を目指す。そのような具体的な価格変更のスケジュールを、最初に作っておくべきです。

適正価格か、適正価格より少し低い金額まで調整すれば、多くの物件には購入希望者が現れます。大切なのは、期限直前まで高い価格のまま放置し、最後に大幅に安い買取価格へ落とすことではありません。

買い替えで本当に必要な安心とは、「売れなければ安く買い取ってもらえること」だけではないはずです。

いつまでに、いくらまで価格を調整すれば、一般のお客様へ売却できる可能性が高いのか。その道筋を示してもらうことこそ、本当の安心ではないでしょうか。

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